休業中のあれこれ ⑯
マカロン再び
臨時休業して、早くも6カ月も経ってしまった。
3月か4月には営業再開できるかと思っていたが…手を動かすことは必然的に右肩に負担がかかる。
入院中よりはるかによくなってきたが、何もせずともじんわりとした痛みを感じることもままあり、一進一退のような…
足も何の痛みもなく歩けている時もあれば、ふとした動きで痛みを感じたり…肩も足もこの痛みとは長い付き合いになるのか…
完治はむずかしいのかなと思ってしまうこの頃。
時折り、お菓子を焼いて体慣らしをしている。
抹茶マカロンとチョコレートマカロン。
マカロンに挑戦4度目…と思っていたが、写真を見返すと5度目だった。
3度目の時は手順を間違えて無残に失敗。
遠路はるばるお越しいただいたのにお出しすることができなかった。
今回は…以前にもまして器量悪く、大きいのや小さいのや…
しぼり袋の扱いが苦手で、ひとえに自分に技術が備わっていないせいなのだが。
今から20年ほど前、紅茶教室を終了したのち、今度はお菓子?
お菓子ならば…と、当時 代官山にあった ル・コルドンブルーを軽い気持ちでのぞいてみた。
パンフレットをもらい、授業料のあまりの高さに恐れをなして…
私なんかが来るところではないな…と痛感する。
併設のカフェでお茶をして、すごすごと帰ってきた。
キッシュがおいしかったなぁ。
コロナの影響なのだろうか…現在は閉校してしまったようだ。
お菓子は好みに合ったおいしいと思えるレシピにいかに出会えるか…
それと原材料がよければ…技術はともかくとしても、おいしさは自ずとついてくるのではなかろうか…なんちゃって。




今回は卵白を泡立てる必要がなく、生地の乾燥工程も不要のラピッドマカロンというマカロンミックス粉を使ってみた。
生地が少々平べったい焼き上がりになってしまった。
マカロナージュが適切ではなかったのだろうか。
初めて作った時の方がまだ良い出来ばえだったような…
抹茶マカロンのガナッシュはホワイトチョコレート、抹茶、生クリームを湯煎にかけて溶かしたものを冷蔵庫で2時間以上冷やしてから挟む。
チョコレートマカロンも同じようにチョコレート、生クリームを使用して仕上げる。
半年のブランクは手際の悪さに如実に…たったこれだけ作るのに5時間以上もかかってしまった。
紅玉りんごのパウンドケーキ
今年はもう紅玉は手に入らないなぁ…と思っていた矢先、街中の果物屋でシーズン最後の紅玉を手に入れることができた。


くし形に切ってからバターでソテーし、グラニュー砂糖、ブランデーを加える。
本来はカルヴァドスというりんごが原料のブランデーを使うのだが、安価なサントリーのブランデーで代用。
焼きあがったあと、粉糖をラム酒で緩めたものを塗るのだが、ラム酒をうっかり切らしてしまい、これもキルシュワッサーで代用する。


後片付けも含めて、お菓子を作るのは結構体力がいるものだ。
少しずつ体を慣らして、営業再開にこぎつけたいと思っているのだが。
スコーンいろいろ
スコーンの原材料である小麦粉、発酵バターなどは同じだが、ノンホモ・パスチャライズ牛乳を低脂肪牛乳に、生クリームを無脂肪ヨーグルトに変えて焼いてみた。
ちょっぴり低カロリーでヘルシーなスコーン。
味にそれほど大きな違いはないが…好みは人それぞれであるが、私自身はけっこう好みである。




スポンジケーキ類には北海道産のドルチェ、スコーンの薄力粉は佐賀産のものを使用していたが、手持ちがなくなり、ドルチェに変えて焼いてみると、若干だが食感が違う。
パンは使用する粉で大きく味わいがちがう。
パン程でなくてもスコーンも同じか。




息子たちや試食してもらった友人たちに好評だったのが、抹茶とホワイトチョコレートのスコーン。
私の作るスコーンはかなり甘さ控えめ…砂糖の使用量を抑えている。
好みは人それぞれ…チョコレートの甘さがうまさ?
1日だけの貸切り営業
臨時休業中だけど、ご要望をいただいて1日だけの貸切り営業を行う。
遠来のお客様をお迎えして、ご家族全員で総勢8名さまでアフタヌーンティー。




基本のBセットにご用意した焼き菓子は紅茶のシフォンケーキにマカロン2種。
スコーンはプレーン、くるみ、いちじく、ドライトマトの中から2個。
お茶はそれぞれ、ダージリン、アールグレイ、ウェディングをお選びに。


写真はお帰りになったあと、自分用に用意したもので、サンドイッチがご提供のものとは若干異なる。
貸切りパーティーなどの場合、ご予算に応じて承ります。
手際悪く、大変お待たせしてしまったが、アフタヌーンティーは初めてだというお客様にも喜んでいただけて…
また、数多くのお店の中からお選びいただいて、うれしく思う。
アフタヌーンティー・セットでよく思い出すことは、メニューに加えてまだまもない頃のこと…
おひとりで来られた老紳士…きちんとジャケットを着用されて、老紳士という言葉がまさにぴったりの雰囲気の方だった。
コーヒーがお好きな方のようで、初めて来られた時はお好きなコーヒーや喫茶店のことなどが話題に上った。
二回目のご来店だったと記憶しているが…コーヒーをご注文のあと、アフタヌーンティー・セットとは何ですか?
と尋ねられたのに対して…私ときたら、あ、申し訳ございません…アフタヌーンティー・セットはご予約制なんですよ…
内容を尋ねられたにもかかわらず、的外れなとんちんかんな返事をしてしまった。
他にお客様がいて、私にあせる気持ちがあった。
尋ねられたことに対して、そのお客様に対してきちんと向き合っていなかったということだ。
時々思い出しては、今度 来られたら、あの時のお詫びを…と、何年も思っているのだが…
アフタヌーンティー ・インディゴ長崎
1年ぶりで会う友人と南山手にあるホテルインディゴ長崎で、アフタヌーンティー。
正式名称はホテルインディゴ長崎グラバーストリート。
こころの中で、ちょっと贅沢だけど、これも自分の勉強…と言い訳なんかしたりしている。
ホテルインディゴ長崎は、かって 幼きイエズス会の修道院、養護施設マリア園と幼稚園があった100年以上も昔のレンガ造りの建物。
何年も前に、森トラストが手がけてホテルができるのだというニュースを聞いてから楽しみにしていた。
やっと、昨年の12月にオープンの運びとなった。
外観はそのままに、中をリニューアル。
かってのお御堂がレストランに生まれ変わった。
ステンドグラスも現在の建築法に合わず、古いものは一部ディスプレイの形で残し、新しくつくられたものだそう。
ドアを開けると、受付・事務室があった場所がフロントに、その奥がロビーに。
クラシックな建物にシンプルモダンなインテリアが融合した不思議な空間。
長崎の 和・華・蘭 文化をコンセプトにしているのだそう。
レストランの壁際に設えられたグリーンのソファが素敵ねと友人と話した。




ピエールエルメとコラボしたというシュガーロードがテーマのアフタヌーンティーが4月1日から始まった。




鎖国時代、唯一 長崎の出島が世界へと開かれていた。
オランダなどとの貿易でもたらされた砂糖は長崎街道(佐賀を通って小倉まで数多くの宿場があったという)を通って、やがて全国へ。
そのため長崎街道はシルクロードになぞらえて、砂糖の道・シュガーロードと呼ばれるようになったらしい。
当時は貴重であった砂糖をふんだんに使った料理が最上のもてなし…
そのせいか長崎の料理は多くの砂糖を使い…総じて甘いのだという。
長崎てんぷらと言われるてんぷらの衣には砂糖と塩が入る。
母の作る料理も実に甘かった。
味噌や醤油も関東地方のものと比べると、長崎のそれは甘めである。




長崎産のお茶が多かったが、熊本産という上質なジャーマンカモミールを堪能した。
生クリームやクロテッドクリームはあまり好みではなく、普段はスコーンには何もつけずにそのまま食べてしまうことが多い。
スコーンもさることながら、自家製だというクロテッドクリームは今までで一番おいしいと感じた。
地域の方に気軽にお越しいただきたい…というスタッフの話だったが、なかなか気軽には…敷居が高いと感じてしまうのではなかろうか。
私たちが帰るころ、地元のテレビ局による取材が行われていた。
放映される日も近いだろう。
長崎マリオットホテル
先月、名古屋の友人が長崎へ。
オープンした翌年に訪ねてくれて、二度目。
中華街でちゃんぽん、皿うどん、春巻きなどで昼食の後、インディゴ長崎でコーヒータイム。


そのあと、マリオットへチェックイン。
去年のウェスティンに続き、彼女の持つマリオット・カードのポイントで無料宿泊(オールインクルーシブ)ができるという恩恵に与った。
旅好きにとっては、貯まったポイントで各地のマリオット系列のホテルへ無料宿泊できる楽しみがあり、年会費以上の恩恵があるのだという。
へぇ~❣
庶民には縁遠い…そんな世界があるなんてこと知らなかった。
マリオットホテルは長崎駅ビルに隣接している。




五つ星の高級ホテルに泊まったことなど、今までにほんの数回あるのみ。
お彼岸間近というのにかなり寒い日で、外に出ることもなく食べてばかりのホテルライフを満喫。
贅沢なひとときだった。
過去の歴史の中で、贅沢は敵だ…欲しがりません云々…というスローガンが声高に叫ばれていた時代があった。
母からよく聞かされていたものだ。
私の母は厳しい人だった…とりわけ、娘の私には。
食べ物の好き嫌いが多く…というより食べられないものが多くて、学校給食は苦痛以外の何物でもなく、昼休み時間もなくなるほど…
しまいには泣きながら給食と格闘。
食べ終わるまで赦してもらえなかった恐い先生をこの歳になっても思い出す。
食が細かった子どもの頃の私はがりがりにやせていた。
いつも母から、そんな贅沢言うもんじゃない…食べられるだけありがたいと思いなさい❣
何かにつけ、戦時中はね…と耳にタコができるくらい聞かされていたものだ。
そんなことを思いながらの贅沢なひととき。
たまの贅沢は素敵なしあわせ時間を運んできてくれる。
贅沢は素敵だ。